ATMスキミング防止システム及びその方法

Ⅷ.銀行業界における知的財産の創造

1.発明の名称

ATMスキミング防止システム及びその方法

2.特許番号

第5566505号

3.発明を選定した理由

 銀行ではATMに始まり多くの機械やシステムが用いられているが、それらは外部のメーカーに委託されるものが多く、また銀行業務を行う上で重要なセキュリティ関連のシステムも、警備会社が特許を有するものがほとんどである中で、銀行が出願人であったこと。銀行の特許に多いいわゆるビジネスモデル特許ではなく、システムの特許であったこと。

4.発明の説明

(1)発明が生まれた時代背景

 「スキミング」とは、他人のクレジットカードやキャッシュカードの磁気記録情報を、「スキマー」と呼ばれるカード情報を読み取る装置を用い、不正に読み出してコピーを作成し、使用する犯罪行為である。スキミングはカードの盗難と違って、カード自体が盗難されないので、被害者が被害に気づきにくいという特徴がある。スキミングは1980年代から見られ始め、次第にその手口は進化し、現在ではカードリーダーの中にスキミングの装置を仕掛け、カード情報を盗み出す「仕掛け式スキミング」や、カードリーダーにスキミングの装置を仕掛けこの盗んだ情報をトランスミッターと呼ばれる送信機を利用し電波で飛ばし、外で受信する「無線式スキミング」といった手口が多く見られている。その被害額も年々増え続けており、ATMや店舗での支払いにカードが用いられることが多い現在において、その防止は大きな課題である。 (*1)

(2)発明の技術的特徴及び従来発明

 ATMに装着されたスキミング装置を早期に発見することを目的としたシステムである。具体的には、金融機関のコンピュータシステムに、その金融機関が管理するすべてのATMの管理情報を格納するATM管理情報DBと、ATMの機種毎にカード挿入口の画像を含むATMの部分画像を格納するATM部分画像DBとを備え、金融機関のホストコンピュータ側のATM制御部が、利用者の取引開始要求をATMから受信した際に、ATM管理情報DBを参照して当該ATMを特定し、利用者に対して当該ATMに異常がないかの確認を求める確認画面を生成してATMに送信する。この確認画面にはATM部分画像DBから当該ATMの正常時の各機構部の部分画像が含まれる。また、実際に使われたスキミング装置の画像を格納したDBを用意し、確認画面に含ませる。確認画面に対する利用者が行った判定結果に応じて、当該取引の続行/中止、場合によっては当該ATMを利用不可とする。 (*2)
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(3)発明者の心情(発明者が属する企業の歴史)

 スキミングの被害に合いやすい場所の代表的なものとして、銀行等のATMが挙げられる。かかる犯罪は、被害を受けた個人のみでなく、信用を前提に業務を行う銀行にとっても多大な損害が被らせるものであり、本件特許のように防止に努めるのは当然のことであると考えられる。

(4)他の世界一発明と共通していると予想される事項

 「発明」とは、ある問題に対するより適した解決手段として生み出された物や方法であることがほとんどであると考えられる。本特許も、スキミングという犯罪に対する防止策として生み出されたものである。またその解決方法は、銀行という顧客の信用が重視される業務に即しており、問題解決において、適切なアプローチをとるという点で共通していると考えられる。

(5)注釈・参考文献

以上

  • 最終更新:2019-03-30 22:14:28

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